私は東宝版キングコングの着ぐるみは、けっこう好きです。
顔も2種類。
腕が長かったり短かったり、細かく使い分けています。
そこには、腕をどうしても長く見せたかったという円谷英二特技監督のこだわりが感じられます。
皆さんご存じの通り、『キングコング対ゴジラ』と『キングコングの逆襲』で、東宝はキングコング映画を製作しました。
アメリカのRKOから5年間、キングコングの権利を譲り受けての製作という事です。
『キンゴジ』は1962年の製作ですから、アメリカのGHQの占領政策が終わり、日本が主権を回復(1952年)してから10年程しか経っていないんですよね。(第1作目のゴジラは終戦から7年目で作られている事にも驚き!)
この10年辺りの日本の復興の凄さは、映画の内容からも分かります。
みんなが高度成長期のど真ん中で逞しく生きている感じが見て取れます。(ビフテキ食いて〜)
第1作ゴジラのヒットの影響があったのかもしれませんが、ちょっと前まで戦争していた国でも関係なく、大事なドル箱スターの権利を貸し与えてしまうRKO。
カネか? カネなのか? やっぱり…。
東宝版キングコングコングの造形には賛否両論ありますが
『キンゴジ』がキングコングのカラー映画初登場でしょうか、体毛を赤茶色にしたのはゴジラとの対比を出すのに良かったと思います。
同系色で組んず解れつしても分かりずらいですもんね。
ちょっとオランウータンぽいですが、ただの巨大なゴリラにしなかったところがが、怪獣映画の東宝の面目躍如といったところですね。
その後のアメリカ製コングは巨大なゴリラなので、モンスターであっても、『怪獣』かと言われればどうなのかと…。
キンゴジのコングの着ぐるみは、頭と体がセパレートタイプになっているようです。
頭は2種類でしょうか、ひとつはモンチッチ頭で口元がややとがっているタイプ。
このタイプは、宣伝用スチールでゴジラに「なんでやねんポーズ」をしているのが印象的です。
中禅寺湖のシーンではこのモンチッチがメインでしたね。
もう一つのタイプはややアヒルぐちのタイプ。
コングの東京侵入からの後半はアヒルぐちコングがメインです。
この二つの頭部、細かいカット割りで使い分けられていますが、いまいちその意図が分かりづらい。
そこが面白いところですが。
ボディーは何種類あったのでしょうか?
2種類?3種類?中に入っている人の腕の先に腕と手を延長した、『手長タイプ』とアクション用の『腕の短いタイプ』を中禅寺湖の戦いではカット毎に使い分けているようです。
ゴジラの放射能火炎に後ろ歩きしているのは腕の短いタイプで、すぐ後の「こりゃまいった」と頭に手を乗せるのは手長タイプと。
私が判断がつかないところは、この中禅寺湖のシーンでコングが自分の胸を叩くカットが、手長タイプの着ぐるみに見えるのですが、指を伸ばしたままです。
同じ手長タイプのシーンでも、富士山麓のシーンで腕をぶらーんぶらーんとして岩に隠れる時のコングの指はかるく丸まっています。
手長タイプにも2種類あった?
途中で作り変えた?ん〜、見れば見るほど分からなくてなってしまいました。
腕の中にマジックハンドのような可動ユニットが入っているという情報もありますが、それはちっと信じられないのです。(『キングコングの逆襲』でのコングの着ぐるみの腕には可動ユニットが入っていたのは写真で確認しました)
腕の末端にまで人の腕が入っていないから、どうしても手に生命感が感じられません。
特に、100 万ボルト作戦の時、コングが鉄塔に張られた電線を上から切っていくシーン。
腕が死んでいます。ぶら〜んぶら〜んと。
しかし、円谷さんは長い腕にこだわったのです。
映像を見直しているうちに気付いた事が!
もしかしたら、コングの着ぐるみ役者さん(広瀬正一氏)が格闘シーンの時などは腕の毛の生えた部分をたくし上げて、着ぐるみの指の部分まで自分の指を入れて演じ、コング単体のシーンでは着ぐるみの指まで自分の指が届かない状態で、腕が長く見えるようにして演技しているのかも!
ということは、胴体の着ぐるみは、もともと1種類だったのかな?私の初歩的勘違い⁈
真相は分かりません。
いつか『キングコング対ゴジラ』のリメイクはあるのでしょうか。期待して待ちましょう。
関連記事
●キングコングさんの視察旅行 接待役はゴジラさん
●もし、第1作のゴジラの着ぐるみが、『メガロゴジ』だったら…
●初代より評価の高い2代目怪獣の着ぐるみは作られたのか!