記憶というものが芽生えてまもない子供の頃に見たテレビ番組。
本当に観たのか、夢だったのか。
その夢の中には三波伸介さんとメカゴジラがいたのです。
薄っすらとした番組の記憶
遠い遠い記憶でした。遠すぎて、記憶を捏造していたんじゃないかというほどの薄っすらとした記憶がありました。
それは幼い日、テレビで見た、子供番組。お笑いの王様、三波伸介さんが司会の子供番組の記憶です。
その子供番組のあるコーナーが、4、5人の応募者の子供が出てきて、自分たちの考えたオリジナルの怪獣を発表して優秀賞を競う。というものでした。
私は5、6歳だったと思います。毎週楽しみにしていたわけでもなく、偶然その日は、その番組を見ていたんだと思いますが、そのコーナーので優勝した子供の考えた怪獣が、メカゴジラだったのです。
しかし長い間、この記憶は私の記憶の奥底にしまわれていました。
そしてこんなブログを書いていると、ふと、頭の中に蘇って来るのですが、あれは本当に見たのではなく、幼心に創り上げられた幻の記憶だったような気もしていたのです。
それは幻の記憶ではなかった。実在したワンシーンだったのだ
その後、80年代初頭、ゴジラ復活の機運に乗って、特撮映画や怪獣映画のムック本が数多く出版されましたが、メカゴジラのアイディアの元が、その子供番組なのだという記事や読み物には巡り合いませんでした。
つい最近の事なのですが、図書館の映画関連の棚で、ある本が目につきました。余談ですが、最近の図書館には特撮や怪獣映画に関する本も結構置いてあるのですね。
真面目な評論本だけでなく、写真も多く載っているムック本も何冊かあります。
そこで、ふと手に取ったのが『オール東宝怪獣大図鑑・別冊映画秘宝』というムック本。これがなかなか楽しい内容の本なのです。見た事のない写真がたくさん載っています。
30年程前に本家の東宝さんが出した『東宝特撮映画全史』にも載っていない写真が載っているところを見ると、未公開写真はまだまだあるのでしょうか?
この本はコラム記事も面白く、いろんな人が好き勝手な怪獣論を寄せています。そして私は、友井健人さん(特撮関係のライターさんらしい)のコラムに目を通してハッとしました。
「うんうん、そうだそうだ!やっぱり!」
そう、なんとその友井健人さんのコラムは、私が幻の記憶だと思っていた三波伸介さんの子供番組での優秀賞アイディア怪獣がメカゴジラだったというお話でした。
私の記憶は幻ではなかったのです。
同じ記憶を共有している人がいる事に感動と驚きを覚えました。
友井健人さんありがとうございました。
番組名は『ちびっこスペシャル』優秀賞を獲得したメカゴジラ風の怪獣の名は『メカニゴジラ』でした。
私の住む宮城県では東京12チャンネルの番組は、他のキー局に分けられて放送されていたはずなので、いつ見たのかは不明です。東京では日曜夜7時放送でした。
ひとつ謎が解けた。ゴジラ対メカゴジラが封切られたのは、この放送から2年後のことだそうです。
東宝のスタッフから、この番組からアイディアを得たというエピソードは聞いたことがありません。
メカゴジラの登場は時代が求めた、時間差のあるシンクロニシティだったのでしょうか。はたまた著作権上の問題で皆が口をつぐんでいるのか。
優秀賞を取った少年は現在、50歳代半ばでしょう。メカゴジラを見てどう思ったのでしょう。東宝から謝礼ぐらいは頂いたのでしょうか。
とは思ったのですが、怪獣の名前に『〜ゴジラ』とつけた時点で、東宝さん的にはアウトだったのかもしれませんね。私の、このブログのタイトル、大丈夫かなぁ。
※「ちびっこスペシャル」、「メカ二ゴジラ」についてのエピソードは、友井健人さん編集『昭和メカゴジラ鋼鉄図鑑』に詳しく載っています。
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追記
2018年2月3日、「さよなら日劇ラストショウ」(日劇は2月4日に閉館しました。)で、 「ゴジラ対メカゴジラ」 「メカゴジラの逆襲」 「ゴジラ×メカゴジラ」 「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」 が上映されました。
このイベントに登壇された中野昭慶特技監督、トークショーの中で以下ようにメカゴジラ誕生について語られています。
メカゴジラ誕生のきっかけについて中野は「プロデューサーから突然『ゴジラ20周年だから気合いを入れて作品を作りたい』と言われ、新しい怪獣を考えるよう頼まれたんです」と明かし「でもゴジラを超える怪獣はいないと思い『ゴジラの相手はゴジラでしょ。
ロボットを作れば?』と言ったんです」と、その経緯を語った。
そんな中野のアイデアに、富山は「こんなに素晴らしいアイデアと映画はなかったと思います。
メカゴジラが出て来たときは本当にびっくりしましたし、背中が破れて金属が見えるというところには本当にゾクゾクします」と、誰も思い浮かばなかった発想でシリーズに新たな風を吹かせた中野を絶賛。
さらにメカゴジラのデザインのディテールについて語り始めた中野は、市販されていたブリキ製のゴジラや、西洋甲冑の要素を取り入れた関節のデザインでメカゴジラが誕生したことを明かす。
すると「怪獣は顔が命だと思っています」と語る富山が「『ゴジラvsメカゴジラ』は猟犬のような顔。
でも『ゴジラ対メカゴジラ』は中野さんの顔ですかね」とコメントし、会場の笑いを誘った。
“メカゴジラ”は中野昭慶の言葉から生まれた⁉︎日劇閉館を飾る「メカゴジラナイト」で明かされた誕生秘話
ん〜。 やっぱり、三波伸介さんの「ちびっ子スペシャル」で賞をとった少年のアイディア 「メカニゴジラ」 が先にあったという事実は、このまま闇に葬られてしまうようです。
しかし、憶えている人は憶えているのです。
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コメント
たまたま同じ事を調べていた者で、このブログを発見し
コメント入れさせて頂きました。
私も当時、同じ番組を観たのでこの記憶が間違いでないのが確信でき
嬉しく思います。
さきたこういちさま、コメントありがとうございます。昭和はふたつ前の元号になってしまいましたが、何かのきっかけで当時の懐かしい出来事を思い出すものですね。お役に立てて良かったです。