夏木陽介さんが死去されました。
心からご冥福をお祈りします。
ゴジラ映画のキーポイントとなる2作に出演された夏木陽介さん。
夏木陽介さんのことは、ゴジラ映画の中だけでしか存じ上げないので、その中での夏木さんについて語らせていただきます。
夏木陽介さんは、ゴジラ映画の転機となった『三大怪獣 地球最大の決戦』の主役
『三大怪獣 地球最大の決戦』は、いったい誰が主役で誰がワキ役なのか分かりづらい作品です。
主役はたぶん、夏木陽介さんでしょう。
サルノ王女とのラブロマンス、「風と共に去りぬ」のアイディアも入っているらしいです。
私のイメージでは、夏木陽介さんはパリダカールラリーに参戦していた頃のルックスがピンときていて、ゴジラ映画で見た、ヒゲのない若い刑事さんは、同一人物だとは思いませんでした。
わりとコミカルなセリフが印象的
この『三大怪獣地球最大の決戦』は、関沢信一さんの脚本とあって、コミカルなセリフやシーンが多い作品です。
夏木陽介さんの印象に残るシーンとセリフといえば、
妹(星由里子)が、男の車で送ってもらったのを発見し、
「女は車に弱いか」www
最高です!夏木さん。スカしてます!
喫茶店で妹と教授(小泉博)と待ち合わせした時のセリフ、
「勘定払わないぞ!」
そして喫茶店のボーイが
「え〜!」
夏木「いや、こっちのはなしっ」
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そして、後半の迷?場面!
サルノ王女「そなたは、誰じゃ?!」
夏木「私は日本の警察です。そしてあなたのボディーガード!」
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このシーンを、高校生の頃にレンタルビデオ屋で借りてきて、家で真剣に見ていたら、ウチの母親に、
「誰じゃ!(失笑)」と、
横から突っ込まれて、真剣に観ていた自分が恥ずかしくなった思い出があります。
外国人の王女が「じゃ」って…。
そして、夏木陽介さんをふくむメインキャストの迫真の演技は?
モスラがキングギドラの引力破壊光線で何度か吹き飛ばされるその度に、夏木陽介さん、星由里子さん、そして志村喬さんの口を開けてビックリする表情のカットが挟まれます。
それが、ちょっとわざとらしくて笑えます。
特に星由里子さん。
口の開け方が…わざとらしくて…面白い。
夏木陽介さんはイカした表情。
志村喬さんは指を口によせ、さすが「生きる」の落ち着き。
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84’ゴジラでは、シリアスな林田博士の役
『三大怪獣地球最大の決戦』から20年間の時を経てゴジラ映画に夏木陽介さんが帰ってきました。
『シン・ゴジラ』から20年前というと、『ゴジラvsデストロイア』の2年後。
今の私には、ついこのあいだ。って感覚ですが、
『三大怪獣〜』から『84’ゴジラ』では、私が生まれる前から高校生になる過程ですから、当時の感覚でいう20年は相当の長さです。
84’ゴジラでの林田博士は昔のゴジラ襲来の時に両親を失い、ゴジラを憎みながらも研究を続け、最後にはゴジラに愛さえ感じてしまったのではないかという複雑な心の持ち主。
『三大怪獣〜』では好青年だった夏木陽介さんが、ダンディーなナイスミドルなおじさまになられていました。
私が知っているデフォルトな夏木陽介さんは、この当時のルックスです。
この84ゴジラの撮影では、ビルからヘリに吊られて脱出するシーンでは、スタントなしで行ったそうです。
そして、林田博士は噴火する大島三原山へ最後に降り立ちます。
当時、なんの疑問も持たずに観ていましたが、
噴火して、岩石やら小石やら何やらが激しくぶっ飛んでくる状態の近くに、ヘリコプターで到着します。
それは、ありえないことだと、その後の現実にあった噴火による痛ましい事件を観て知りました。
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私は84ゴジラが好きです。
ゴジラ映画の分岐点の2作に主演した夏木陽介さん
夏木陽介さんは、不思議なことにゴジラ映画のターニングポイントになった2本に出演された事になります。
ゴジラが初めて人類の敵ではなく、地球外の敵と戦う、どちらかというと人類の側に味方したような立場になった『三大怪獣地球最大の決戦』。
そして、人類の味方じゃゴジラはおかしい。
やはり原点に戻って怖いゴジラにしよう!
となって制作された84年版『ゴジラ』。
ゴジラのターニングポイントに夏木陽介あり。
ありがとうございました。
夏木陽介さん。
改めてご冥福をお祈りいたします。
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