記念すべきゴジラの第一作目『ゴジラ』の感想をここに書き記しておこうと思いました。
ゴジラに関するネタ記事は、いくつか書いていますが、映画一本まるごとの感想として1記事かいておいたほうがいいと思った次第です。
感想というか、映画を観ながら、突っ込みや感動を書いてみたいと思います。
オープニングのドン!ドン!はゴジラの足音なのか!?
オープニングで、いきなりドンンン!ドンンン!ドンンン!アエーンと来ました!
この、ドンンン!ドンンン!はやっぱり、ゴジラの足音ですよね。
もう、垂直にドンンン!と落とした感じの音です。
これは、恐竜とは違う。
恐竜はつま先立ちで、どちらかといえば鳥に近い脚ですから、ドンンン!ドンンン!とはなりませんよね。
かかとをついてるゴジラだからこんな音でもいいでしょう。
しかし、『シン・ゴジラ』以外のゴジラ映画では、ドンンン!ドンンン!という足音がするシーンは思い浮かびません。
ゴジラは、それほど大きく足を上げて歩かないので、このドンンン!ドンンン!は、私には、ちょっと効果音としては違和感を感じました。
これが、尻尾で地面を叩く音なら、そのほうがリアリティーが感じられますが。
記念すべきゴジラのテーマ
そして、ゴジラの鳴き声に重なるようにゴジラのテーマです。これが、今の今まで受け継がれていくわけですね。
しかし、このドシラ、ドシラ、のメロディーのテーマは、『メカゴジラの逆襲』まで登場していなかった。はず。
初めてのゴジラの熱線
記念すべきゴジラの熱線を浴びたのは、栄光丸の船員さんたちでした。
海上が光った後に、船上に向かって火炎が吐きつけられました!
ということは、ゴジラが頭を水面から出して熱戦を発射したことになります。
2隻目の被害の備後丸の場合は、会場が白く吹き上がり、船がいきなり爆発!
こちらは、海中から熱線を舟に向かって吐いたのか?
ゴジラは、何の理由で漁船を襲ったのでしょうか?
第一作目の段階では、水爆実験の影響で棲み処を追われのが原因で、光に対する憎しみをもっている。というところだと思います。
新吉の運命
新吉は、じい様と一緒に山の上から海を見ています。
その光景が、なんか、のんきに見えます。
お兄さんの正次が遭難して行方不明になっているのに。
イカダにつかまって流されて帰ってきた正次に、駆け寄って「あんちゃーん」というところで、二人が兄弟だと分かりました。
しかし、すぐに嵐の夜に、謎の生命体によって、正次と、おっかちゃんは家と一緒に押しつぶされてしまいます。
なぜか、ひとり、嵐の中、家から飛び出した新吉だけが生き残るという数奇な運命。
お父ちゃんは戦死していないのかもしれない。
その後、新吉は山根博士の家に預けられます。
国会で証言もしています。
その姿は冷静で、家族を失ったとは思えません。
初期の怪獣映画で見る、兄弟が死んでも冷静なキャラが、ここにもいました。
『空の大怪獣ラドン』『大怪獣バラン』もそうです。兄弟が死んでも悲しみのシーンがなく話が進んでいく。
序盤の嵐のシーンの特撮good!
円谷特撮は、嵐のシーンは得意ですね。
感動します。
後の、『モスラ対ゴジラ』の嵐のシーンでも発揮されていますね。
大戸島の山の裏まで行ったゴジラ。誰も気づかなかった?
大戸島に調査に向かった山根博士一行。
山の向こうから、ドーンドーンと足音がします。
山の傾斜があるような場所で、ドーンドーンと音がするかはちょっと疑問ですが…
やっぱり尻尾で字面を叩く音なのか?
ていうか、嵐の夜から調査の日まで、誰も裏山のゴジラに気がつかなかったのか?
50ⅿもあるっつうのに。しかも歩くとドーンドーンと音がするし。
由美子?恵美子じゃないの!?
ゴジラが山の向こうから頭を出した後のシーン。
山根博士「ゆみこー!ゆみこー!」
あれ、エミコじゃなかったのか?
私は、ずっとエミコだと思ってました。
調べなおしたら、やっぱりエミコ(恵美子)でした!
どうなってんのじゃ!
私の聞き間違いじゃないはず。
他のシーンでは、山根博士は、ちゃんと「恵美子」と言ってもいます。
アフレコの時間違えたのかなぁ。
怪獣を呼称するシーンはここから始まった
「仮に大戸島の伝説に従ってゴジラと呼称します。」
これが、怪獣を呼称するシーンの始まりです。
私は、怪獣を呼称するシーンが好きです。
といっても『サンダ対ガイラ』『ゴジラの逆襲』のアンギラスくらいしか記憶にありませんが。
他の怪獣映画では、
- 「キングコングだ!」とか
- 「バラゴンが後方に迫ってる!」
- 「バラノポーダだ!バランだ!」とか
- 「ラドンが飛び出した!」とか、
知らぬ間に誰かが怪獣の名前を呼んでたりして、経緯がはぶかれています。
私は『サンダ対ガイラ』の名前を呼称するシーンが好きです。
ゴジラは放射能の影響で熱線を吐くようになったのか?
山根博士は、ゴジラは、度重なる水爆実験により安住の地を追われた。と言っていましたね。
放射性因子を帯びているとも言っていましたが、
なぜ、熱線を吐くかの理由を説明してはいません。
放射能で、変異したのか、アンコウのように深海で発光するために元々あった能力に、水爆の放射能を帯びたものなのか。
ここら辺の疑問は、世間の感覚では放射能で変異して熱線を吐くようになったとみんなは思っているんだなあと、平成の『ゴジラ対キングギドラ』あたりを観ると、そう感じます。
山根博士の気持ちの揺らぎ
第一回目のゴジラの東京上陸の後も、まだゴジラの生物的研究の必要性を主張する山根博士。
しかし、この山根博士側からのストーリー展開は、いまいち物語の中でポシャってしまいます。
2度目の上陸後の東京の惨状を見て、考えを改めざる終えなくなった。と、物語上は捉えたくなるところです。
なんせ、山根博士はゴジラ対策の将として任命されているのですから。
ゴジラを殺すことに反対の人がゴジラ対策の将。
これじゃ、上手くいくわけありません。
恵美子さんの決意がなかったら、いったいどんなことになっていたのでしょう。
ゴジラはそのまま海に帰って戻って来なかったかも知れませんが。
初期の物語のプロットでは、山根博士は、ゴジラ退治の邪魔をしたりするという場面が考えてあったと本で読んだ記憶があります。
話が複雑になり過ぎるので、なしになってしまったよです。
そこが、山根博士が中途半端な存在になっているところなのかも知れませんね。
芹沢研究所の水槽の魚は築地魚河岸から?
芹沢博士の研究所の水槽に泳いでいた魚は、海水魚のようです。
鯉やフナじゃないし、熱帯魚でもありません。
黒鯛とか海タナゴのような魚です。
芹沢研究所は、たぶん築地魚河岸に近い場所にあったのかも知れませんね。
海水魚の生魚なんて魚河岸付近じゃなきゃ当時なかなか手に入らなかったでしょう。
芹沢博士の恋
しかし、なぜ芹沢博士は、恵美子にオキシジェンデストロイヤーの実験を見せたのでしょう。
恵美子は芹沢博士を、兄のように感じていたのでしょうが、博士のほうは恵美子に恋愛感情を持っていた。
後のシーンで、芹沢博士の僅かな望みが絶たれるのですが、切ないです。(恵美子が、尾形の額の血を拭いてあげている様子を見て、改めて、終わったと知る芹沢博士)
私としては、尾形より芹沢博士に心が寄っていきますね。
ていうか、宝田明さんには悪いが、尾形って視聴者から感情移入される場面が全くない役です。
あまりに正当な人間すぎて。
人間ドラマとしての主役は芹沢さん? 恵美子さんかな?
でも恵美子はラストのクライマックスでは、わき役だし。
時間が戻るという編集は先進的?それともミス?
44分あたりの流れですが、 山根博士のお屋敷の中で、山根親子と尾形がくつろぐシーンで、
ドーンドーンという例の足音が、山根博士のお屋敷にも響いてきます。
ゴジラが上陸したのだなと知らせるシーンです。
しかし、次のカットでは、
あれ?
ゴジラが海上からザザ〜っと頭を現すシーンです。
海上でドーンドーンはないはず。
ここは数分、時間が戻る! という編集です。
こんなの、今回、感想を書こうと思って見直さなかったら、気づかなかったでしょう。
一瞬時間が前に戻るという演出は、ありなのでしょうか?
ありです!と言い切りましょう。
ゴジラは一旦、海に帰りますが、東京湾岸は大混乱中です。
しかし、尾形はそんな最中に、山根博士に、恵美子との仲を認めてもらおうとします。
なんでこんなにゴジラ騒ぎで世間が切迫しているときに、恵美子さんとの(婚約?)ことについて山根博士に了解をもらおうとしたのでしょうね。
どさくさに紛れて、OKがもらえるとでも思ったのでしょうか?
話を戻します。
そして、ゴジラが上陸してからは、特撮の独壇場です!
ハイスピード撮影でのっしのっしと高圧線に向かうゴジラ!
歩くだけで絵になる。
コレを見せられたら、ハリウッドも唸ったことでしょう。
この頃は、街に路面電車が走っていたのでしょうか。
画面に電線が横切っていて、コレが上手く遠近感を表現してゴジラを巨大に見せています。
60分あたり、ビルの上からゴジラが頭を出すシーン。
ビルの窓には人が動いているのが見えます。
ていうか、もっと早く逃げなさい。
国会議事堂に迫るゴジラはめっちゃデカい!
平成のゴジラくらいあるかも。
勝鬨橋をなぎ倒すシーンでも、確実に50m以上あるでしょ!
とまあ、場面によっては迫力を出すために、縮尺を変えているようです。
人に熱線を吹くシーン
大1作目のゴジラでは、人に向かって熱線が吐かれるシーンもあります。
たぶんこの作品以降、ゴジラが人が直接、熱線を浴びるシーンは、『84’ゴジラ』まで記憶にありません。
84にはありましたよね。
火の海は、シン・ゴジラも真っ青
銀座尾張町から新橋、田町、数寄屋橋方面はいっぺんの火の海になります。
この火の海の光景、大惨状は、『シン・ゴジラ』まで、そういえばなかった光景です。
ゴジラ1匹でここまでやったのは。
欲を言えば、ずんぐりむっくりのギニョールゴジラが火の海を行くところがもったいなかったか。
『ゴジラ』鳥肌がでたポイント
単純な私の脳が、鳥肌を出せ!と命令したフレーズがあります。
それは、 恵美子さんの放った、
「私は喜んで裏切り者になります!」
というフレーズです。
ここでチキン肌になりブルッとなりました。
なんだろう、迫真の演技です。
シナリオの性質の違いでしょうか? 役者さん達の演技が上手く見えるのは気のせいでしょうか?
まあ、こんなにお嬢様口調の女性は現在の世の中には存在しないってのもありますが。
恵美子役の河内桃子さんは、この後、ゴジラゴジラと言われるのが嫌だったそうですが、 この迫真の演技に賛辞を送りたくなります。
平田昭彦さんも素晴らしい!『メカゴジラの逆襲』では、やや分かりやすいオーバーアクトでしたが、 芹沢博士は嘘くさくないシリアスな演技がとても良い。
宝田明さんは、シリーズを通して、意外と感情移入までいかない役が多い…。でも2枚目ということでOK。
オキシジェンデストロイヤーでゴジラの骨も液化したはず
芹沢博士が、恵美子にオキシジェンデストロイヤーの性能を説明した時、
と言っていました。
そして、ゴジラは骨になり、そして映像では液化したようで、骨までなくなっています。
芹沢さんも「大成功だ!」と言っています。
しかししかし!ミレニアムシリーズの『ゴジラ×メカゴジラ』では、ゴジラの骨は液化せずに残っていた設定になっているのですね。
オキシジェンデストロイヤーは、あらゆる生物を窒息死させ、と言っていますが、ゴジラは『怪獣大戦争』では、宇宙まで行ってるので、酸素が無くても生きられるんじゃないかと思っちゃったりして。
人間ドラマがメインのエンディング
後のゴジラ映画は、クライマックスは怪獣の決闘がメインになって、キャストの連中も、丘の上から眺めていたり、というのが多いのですが、『ゴジラ』は、最後のクライマックスも人間ドラマ中心で終わります。
ここも、後の怪獣プロレス的な映画とは一線を隔すところでしょう。
本多猪四郎監督の手腕も見事です。
長い間観ることができなかった『ゴジラ』
『ゴジラ』は最初に上映されてから長い間観ることができなかったらしいですね。
レンタルビデオが普及してからは、観れるようになりましたが、その前まではNHKで一度放送されたのを観たといっている人の話をよく聞きます。
私は83年まで観たことがなく、84ゴジラ復活のための、東宝がゴジラファンクラブみたいなのを作った際に、記念として招待上映したのを仙台の映画館で観たのが最初です。
良い時代になりました。
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