この記事は『進撃の巨人』が封切られる前に書いたものです。
人型怪獣の映画として、『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ』を比較対象として論じてみました。
巨人たちは、はたして怪獣なのか!
血を見せない様に気を配った円谷英二
『進撃の巨人』実写版では人を喰うシーンをどのように演出するのか気になるところです。
作者の諫山創氏は東宝の怪獣映画『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ』の影響を受けたそうですが、その『サンダ対ガイラ』の劇中では円谷英二特技監督が、巨人?のガイラが〈人を喰う〉シーンは、どのような演出になっていたかどうか振り返ってみました。
羽田空港で女性管制官を捕まえる
ガイラが人を捕まえた後は、口を動かすカットだけで人を喰った事を表現し、ガイラがその後で「クシューッ」っと人間の洋服だけを吐き出す。
次のカットは飛散した花束、という演出です。(海外版では「クシューッ」の後に血の着いていない洋服が地面に落ちるカットが挟まれています。)
わざと分かりにくくした?血の着いた洋服のミニチュア
他のシーンでは、ガイラがメーサー車の光線攻撃からサンダに助けられて、山中で眠っている時、ガイラが喰った人間の洋服が傍らに散らばっているのをサンダが見つけ、怒る。
ここでは一瞬、サンダの目線で、この地面に散らばった洋服にズームアップしていくのですが、たぶん小さい子供にはわかりずらく、大人には理解出来るという演出がされていると感じました。
ミニチュアで作られた洋服が分かりづらく、血のよう赤いものも見えるのですが、ズームしてすぐ切り替わります。
まさに、絵で見せるのではなく、サンダ自身の演技で「お前、喰ったのか‼︎ この野郎」を演出しています。
本多猪四郎、円谷英二コンビの怪獣映画には「血」のシーンの印象がありません。(フランケンシュタイン対バラゴンの「バラバラのウサギ」にはビビりましたが)
そして『進撃の巨人』実写版です。
人を喰うシーンは避けて通れないでしょう。
子供が観ることを配慮して作られた『サンダ対ガイラ』でさえトラウマになった子供が存在したというのに、どういう演出になるのでしょうか?
東宝特撮映画好きとしての注目は、映画評論家の町山智浩氏が脚本に参加しているということでしょう。
『ゴジラ対ヘドラ』を観て映画評論家になろうと思ったという町山氏は、私の好きだったサブカル本、『ゴジラ宣言』(85年、宝島社)の編集をされています。(この本で私は伊藤久哉さんの岩石ブレーンバスターを知りましたw)
町山氏が脚本に関わるということで、本多・円谷組的なDNAを映画の中に残す路線でいくのか従来の『怪獣映画』とは一線を置くのか、どうなるのでしょう?
ちなみに、町山氏はTBSラジオ『たまむすび』の自身のコーナーで「進撃の巨人は怪獣映画です」と仰ってました。
はてさて、どうなることでしょう。