1974年『メカゴジラの逆襲』で幕を閉じた形となった昭和のゴジラシリーズ。
当時小学3年生だった私は、東宝チャンピオンまつりをいつものように、東映の映画館で観ているはずだったのですが、『メカゴジラの逆襲』だけは、なぜか公開されたことすら気付かずに過ごしていました。
それ以降、ゴジラ映画のない空白の期間、昭和の少年は何に夢中になっていたのでしょう。
『野球』、『宇宙船艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』などが普通の子供達の心をつかんでいったのですが、私の場合は、
菅原文太と愛川欽也コンビの『トラック野郎』だったのです。
そこには驚くような特撮シーンがありました。
『トラック野郎』で東映の美術が大活躍
トラック野郎の第1作『トラック野郎・ご意見無用』が公開されたのは、くしくも?昭和ゴジラシリーズが終わった1975年のことでした。
それから、お盆とお正月の年2本ペースで計10本のトラック野郎映画が制作されました。
映画に登場する、電飾で飾りつけした「デコトラ」は軽くブームになりました。
私の近所にも、自分の自転車に電飾して、バッテリーまで載せて「デコトラ風自転車」を乗り回していたにいちゃんがいました。
あなたのまわりにいませんでしたか?
もしかして、あなたのことですか?
特撮とトラック野郎の関わり
第1作目の『トラック野郎・ご意見無用』で初登場する、星桃次郎のトラック『一番星』には大きくゴリラの姿が描かれていたと私は今さっきまで思っていました。
ネット社会となった今、画像検索なんていう便利な機能が存在します。
ずっとゴリラだと思っていた絵は、
熊でした!
40年近い時を経て私は間違いに気づいたのでした。
10作品作られた『トラック野郎』の一番星号は毎回派手にデコレーションされてファンを興奮させました。
この一番星号の飾りつけやハコ絵は、東映の美術スタッフの手によるものでしょうか?
だとしたら、このブログのもう1つのテーマ、「特撮」ともかなり繋がっているといえます。
ちょっと調べてみましょう。
一番星号のハコ絵のデザインに携わった美術監督の桑名忠之さんの関わった映画作品群には特撮モノはありません。
なんと成田亨さんが参加!!
調べたところ、なん
となんと!!
円谷プロでウルトラマンや怪獣そしてメカのデザインを担当していた
成田亨さんがノンクレジットで参加しているのです。
一番星号のデザインに関わっているようです。
一番星号が大ジャンプ!ミニチュア特撮!
第6作目の『男一匹桃次郎』では、ミニチュア特撮にチャレンジしています。
海外に逃避行する彼氏(清水健太郎)にマドンナ(夏目雅子)を送り届けるために、毎回、例のごとく制限速度をはるかに超えて爆走する一番星号!
桃次郎は免許停止が 1日前にもかかわらずハンドルを握る!!
パトカーに追われるのも構わず山道を激走!!
通行止めのバリケードをぶち壊して進んでいくと、建設中の、まだ掛かっていない橋のたもとが目の前に!!!
ここでミニチュア特撮の登場です!!!
11t車の大型トラックの一番星号が、一瞬飛び上がります!!!
というか、不自然に車体が空中で上に上がるのです。
橋のない川の上を飛んで、無事向こう側の道へ着地します。
これ、どうだったのでしょう。
美しい、ほんとうに美しい、新人だったマドンナの夏目雅子さん。
この映画にマドンナとして出ていたことを、なかったことにしていたような気がします。
代表作として紹介されません。
当時、映画館で真剣にクライマックスの激走を観ていたお客さんも、あのシーンで、拍子抜けしてしまった可能性はあります。(笑)
まあ、監督は喜劇の鬼才、鈴木則文さんですから。
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特技監督は矢島信男さん?それとも?
もしかして、この特撮シーンを撮ったのが、成田亨氏かと思ったのですが、成田亨さんは画家で彫刻家ですから特技監督はしていないと思われます。
この時期、東映の特撮は誰が指揮をとっていたのでしょう。
時期的には、この『トラック野郎・男一匹桃次郎』の翌年に、あの大作、深作欣二監督作品『宇宙からのメッセージ』が公開されています。
『宇宙からのメッセージ』の特技監督は、矢島信男という方です。
円谷英二特技監督からも「ゴジラ」の製作時に協力を求められていたというから、実力派の監督さんなのでしょう。
そして、この矢島信男特技監督、成田亨氏と旧知の仲ということが分かりました。
と、いうことはもしかして、『宇宙からのメッセージ』の前年に、一番星号のハイジャンプのミニチュア特撮シーンを撮ったのは、矢島信男さんで成田亨さんもこのシーンに関係していたのかもしれません。(私の妄想です。)
※このあともう一度調べ直したところ、特撮は成田亨さん本人が手がけているらしいです。デザイン画だけの人だと勝手に思っていました。すいません。
トラック野郎第2作目のクライマックスで、一番星号が吊り橋を渡るシーンもミニチュア特撮で、成田亨さんが担当しているということです。
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他にも「トラック野郎」シリーズではいくつか特撮シーンがあるので、文太兄いのコミカルなドラマ以外にもいろいろと楽しめる映画です。
「望郷一番星」
「天下御免」
「男一匹桃次郎」
「突撃一番星」
トラック野郎の最後の作品が1980年。
1984年の『ゴジラ』までの4年ほどの期間世の中では『ガンダム』『藤田監督のジャイアンツ』、音楽はニューミュージックから『YMO』が人気を博した時代です。
私の頭の中にはゴジラのゴの字もない、特撮を忘れていた時代です。
トラック野郎シリーズは全作品、Amazonプライムで、お試し無料期間に視聴できます。
そういえば、「トラック野郎」について、中学1年の頃の、とても恥ずかしい出来事がありました。
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